恋はとなりに
「またまたーーー。面白いこと言うね、コウタって。」
あたしは振り向いて冗談にしたい気持ちをこめて言ってみた。
コウタはまだ真剣な顔をしている。
あたしは真剣な告白をちゃかしたことを反省した。
「ありがとう・・・。」
でもと言おうとした瞬間、コウタはあたしを抱きしめた。
あたしは持っていた荷物を落とし、きゅうりとオクラが足下に散乱した。
「や、やめて。コウタ。」
体に力が入らなくて、コウタの腕を振りほどけない。なんとか声を絞り出して言葉にした。
「兄ちゃんなんかやめて俺にしなよ。」
コウタは抱きしめたまま言った。
あたしは、あたしは、何も考えられなくなって、
暑さと、コウタの熱が伝わって余計暑くて、意識が遠のいた。