恋はとなりに
あたしは隣に座るカケルくんをマジマジと見つめた。
そしてときめく心を抑えなければならなかった。
カケル君は前を見つめたまま動かない。
カケル君の横顔をみて、やっぱりかっこいいやっぱり大好きな気持ちがどんどん溢れてきて苦しくなった。
でもカケル君は運命の人ではない。
このままだとあたしの未来がない気がしていた。
「最初に好きになったのがカケル君でよかった。彼氏ができたら紹介するね。」
カケル君はあたしの方をみてくれなかった。
やっぱりカケル君もさみしいのかな。
「じゃあ、もう行くね。おやすみ。」
あたしは立ち上がった。
カケル君は座ったままあたしを見上げた。
「・・・おやすみ。」
と囁くような小さい声でつぶやいた。少し笑顔を浮かべていた。
あたしはそのままカケル君を振り返ることなく、家に帰った。
部屋に入って深呼吸。
意外と落ち着いていた。
もっと泣いてぐちゃぐちゃになるかと思ったけど、そうでもなくてそれよりもちょっとスッキリした。
カケル君は最初から最後まで大人だったな。やさしくて。