恋はとなりに
それからのあたしは、大学で桃子ちゃんとテニスサークルに入り。テニスには全く興味がないので飲み会だけ参加するという目的。そういうことでサークルをいくつか掛け持ちした。
飲み会も毎回出られないので、桃子ちゃんがタイプな男の子を見つけるとそのこの参加を狙っていくのだ。
彼氏はできなかったけど、知り合いは増えた。携帯のメモリーもだいぶ埋まってきた。でも顔と名前が一致しないことが多かった。
カケル君は秋ごろに実家に戻ってきたらしい。
片思い終了宣言以来、まともに会話していなかった。
あたしはそれなりに大学生活を楽しめていた。カケル君を忘れるためにそっちに神経を注がなければならなかった。
カケル君には極力会わないようにしていた。
そして、何度も合コンなのか飲み会なのかよくわからないけど参加しているうちに
河瀬君に出会った。
周りにいる男の子たちとは少し雰囲気が違う。
飲み会で隣に座って、波長が合った。
一緒にいて落ち着く、というのはこういう感じなんだろうな。と実感した。
その飲み会の帰り、カケル君と電車が一緒になってしまった。
カケル君は少し酔っているようだった。
あたしとカケル君は目が合うと黙ったまま隣に腰かけた。
「遅いじゃないか。何してたんだ。」
カケル君は父親のような口調で言った。
「飲み会に行ってたの。」
「いい人いた?」
カケル君は素に戻って聞いてきた。
「うん。なんか気の合いそうな人がいた。」
あたしは河瀬君のことを思いだしてハニカミながら答えた。