恋はとなりに
駅からの帰りあたしは河瀬君の話をいろいろしゃべった。
カケル君はうなずいているだけだった。
あたしは複雑な気持ちでいた。
カケル君と一緒にいて幸せな気持ち。でもカケル君に片思いするのは終わったから河瀬君を大切にしたい気持ちのはざまで揺れていた。
そしてなんとなくどちらからというわけでもなく、話の流れのまま二人は百日紅のベンチに座った。
久しぶりで嬉しかった。
カケル君はまたこちらを見ずに前をみている。
そして河瀬君からメールが来たのだった。
カケル君があたしに成りすましてそっけない返信してから5分経過してまた河瀬君からメールがきた。
≪また月曜日に校内で会おう。≫
というメール。
カケル君も見た。
「よくわかんないな。でもいい奴そうだ。第一関門は突破したな。」
あたしは河瀬君にまた返信しようとしていた。
【はい、わかりました。】
と打ち終わったところで、またカケル君に携帯をスッと取られた。
カケル君は携帯の画面を見ると、何かいじりだした。
あたしは何か言っても無駄なのでカケル君の好きにさせていた。
恋愛についてはよくわからないし、カケル君の方が経験豊富だから任せておこう。
カケル君は隣で口をとがらせている。
「返信なんかするな、気があると思われるぞ。」
あたしは黙ってうなずいた。そういうものなのか。。。と感心するばかり。
でも、気があるって思われても別に困らないんだけどな。
月曜日 大学に行くと、河瀬くんは門のそばの花壇に腰かけてアイフォンを聴きながらあたしのことを待っていた。
河瀬君のさらさらの髪が風になびいていた。
あたしに気付くとイヤホンをはずして短い距離をかけてきてくれた。
「おはよう。」
「おはよう。」
「次の講義一緒にきこうと思って待ってたんだ。いい?」
「うん。いいよ。」
あたしたちは並んで歩きだした。
「やったぁ!!」
河瀬君は力強く喜んでいる様子。
「え、どうしたの?」
あたしは不思議に思い聞いてみると、先日あたしからのメールが冷たいから講義一緒にきくのも許されないと思っていたからだそうだ。
喜ぶ河瀬君の姿を見て、カケル君の作戦が正しいことを知った。
なんとなくこういうことかって納得できた。