恋はとなりに
その怒りもなんなのかわからなくて、
さくらに会うと八つ当たりしていた。
言葉も刺々しかったにちがいない。
でもさくらはそんな俺のこと、全く見向きもしなかった。
俺の高圧的な態度も、思春期だから仕方ないくらいに思っていたみたいだ。
俺は、こっちを見てほしかっただけなのに。
全然気づかないさくらにイライラした。
でも俺が、言えば言うほど、さくらは俺を子供扱いしていた。
やることなすこと全部裏目に出ていた。
さくらはアニキ目当てによく家にきた。
でもアニキは大学で友達付き合いも多く家にあまりいなかった。
その点俺は部活もしてないし、さくらは俺に会う確率の方が断然高い。
でも俺のこと疎ましく思っているみたいだった。
俺は、初め自分の気持ちがなんなのかわかってなくて、戸惑うことも多かった。
さくらに対する怒りも、アニキに対する嫉妬も。
なんだかごちゃごちゃだった。
反抗期だし、思春期だし、初恋だし。
恋のライバルはアニキだし。
当時は兄ちゃんって呼んでた。