恋はとなりに
部屋に入り、イスに座る。
気持ちの整理をしたかった。
俺はさくらが好き
さくらはアニキが好き
アニキは
彼女いなかったっけ…?
彼女いたらさくらも諦めるかな。
少し希望が持てた俺は、気分が落ち着いてきた。
そして改めて自分に問う
さくらのどこがいいんだろう。
色気ないし。
つまんねーし。
服もダサい。
可愛いけど、クラスで一番ってわけでもないし。
なんであんなやつこんなに気になるんだろう。
おかしいな。
気のせいかな。
気の迷いかな。
オレまあまあモテるのに。
さくらでいいわけない!
もっと他にいるはずだ。
そうだ、あんな平凡な女。他にいくらでもいるじゃないか!
そう思ったらガハハハハー!!
と笑ってまたみんなのいるキッチンに戻った。
さくらの隣に座り、さくらを横目で見る。
完全に上から見下してやった。
お前なんかもう眼中にないんだよー!
と心の中でも舌を出していた。
「ねぇコウタ、お兄ちゃんとさくらちゃんお似合いじゃない?付き合っちゃえばいいのに!ねぇ?そう思わない?」
突然、母親か言い出して俺はお茶を吹き出した。
そして二人を交互に見た。
「全然似合わないよ!!!てか、アニキは彼女いるっしょ。」
俺の言葉に母親はガッカリした顔をした。
「そうなの?」
母親はアニキに確認した。アニキは言葉を濁しながら、頷いていた。
ふと、さくらに目をやった。
さくらは今にも泣きそうな顔をしていた。
アニキに彼女がいることに明らかにショックを受けているらしかった。