恋はとなりに
ある日図書館から帰ってくると、ちょうどアニキの車もかえってきた。
さくらが乗ってることにすぐに気付く。
胸がズキンと痛む。
やきもち。
なんだかもやもやしてまたさくらにひどいことを言ってしまった。
兄ちゃんがつれてきた彼女とは大違い。
なんて、言っちゃって。
さくらの顔を見たら泣きそうに悲しそうだった。
また胸が痛くなった。
悲しそうなさくらの目が頭から離れない。
おれは気になって気になって
アニキが居間のソファーに座ってるからアニキに話かけた。
「アニキはなんでさくらはだめなの?」
さくらの恋を少しは応援したくなって聞いてみた。悲しい顔のさくらは見たくないから。
「なんでって、なんでも。妹みたいなんだよなぁ。コウタも言ってるじゃん。色気がないって。」
「俺はからかって言ってるだけだから。」
「うんうん。そうだよな。」
と言う空返事みたいな答え方をされた。
アニキは何を考えてるのかよくわからない。いつもそうだ。
テレビに夢中で俺の話、聞いてないのかも。
「隣のいたいけな少女をさ、軽い気持ちで付き合えないだろう?可愛し付き合ったら楽しいと思うけど。同い年とかならまだしも。おれ、4つも上だし。」
アニキは言った。コマーシャルになったから本音を話してくれたのかも。
「アニキはさくらのこと好きなんだと思ってたよ。」
俺が言うとアニキはこっちを見た。
「好きだよ。さくら嫌いなやついないだろう。」
アニキはさらっと言った。
それはどういう意味だろう。
恋って意味じゃなさそうだけど。
俺にはどうもひっかかる。俺がさくらを好きだから、疑い深くなっているだけかな。
「今度、出かけたらいいじゃん。この前みたいに。二人でドライブとか。」
俺はさくらを喜ばせる方法を考えて思いついたことを言った。
アニキは驚いてこちらを見た。
「コウタ。どうしたんだよ、急に。」
でもテレビも気になるらしく、またテレビを見始めた。
テレビはバラエティー番組が放送されている。
旅番組でフランスらしき街並みをタレントが紹介していた。
「今度彼女とフランス行くんだよ。いいだろー。
さくらのことは、コウタお前連れてってやれば?俺の車使っていいから。」
フランスに行くからテレビに見いってたんだな!
「免許ねえよ。て言うか俺じゃあダメなんだよ!」
俺は腹を立てて、言った。
テレビを見てるアニキはほっといて部屋に戻った。