恋はとなりに


「2組の上田菜々が可愛いってバスケ部の間じゃダントツトップ。」

友達の小田たかしが言っている。

「ふうん。知らないな。」

俺の言葉にたかしは怪訝そうな顔をした。

「コウタチョコもらってたろ!忘れたのかよ。」

「え・・・そうだっけ、名前確認してないからわかんないや。」

たかしはおれの首を絞めるマネをした。


「おまえ~~うらやましすぎるぞ!」

上田かぁ、全然記憶にないな。

実をいうと、バレンタインにもらった物もろくに中身も見ずに母さんにあげてしまった。


だから何をもらったのかもわからない。


たまに食べてくれた?って勇気を出して話かけてくる子がいる。
聞かれたときは、

正直に甘いものが苦手で食べてない

と答えている。

ウソは厄介だから。


上田菜々。

いたっけ、そんなかわいい子。

たかしの情報によると、上田は中学の時は陸上部にいたらしく高校の陸上部から熱いラブコールを受けたがそれを断ったらしい。
勉強や他にやりたいことがあったそうだ。
そして、バスケ部の2人が上田に告白したが、二人とも断られたそうだ。

なんで断ったかはわかっていない。


その上田がバレンタインにチョコをあげたから、バスケ部は誰にあげたのかリサーチをかけたらしい。

それが、俺だったというわけ。



上田とは面識がない。

俺は上田の顔もわからなかった。


今さら気になるけど、

俺が気にするのは間違っている気がするから。気にしないようにつとめた。







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