恋はとなりに


でもそんな心配はやがて必要なくなった。


2年になるとクラス替えで俺と上田は同じクラスになった。


たかしも同じクラス。


たかしが言わなきゃ俺は上田からチョコをもらったことをわからなかった。

でもわかってると意識してしまう。


あいつは俺のこと好きなんだ

ってどうしても思ってしまう。


もう俺のことなんてなんとも思ってないかもしれないのに。


始業式の日、駅で上田に会った。


「鈴木くん、これからよろしくね。」

と言って握手を求めてきた。

俺は黙って右手を差し出した。

俺の隣の小田を見て、上田は。

「えーと、。」

「小田です。小田たかし。同じクラス、よろしく。」

たかしは興奮しているみたいだった。

上田はたかしとも握手を交わして、駅のバスターミナルの方へ行ってしまった。

「やっぱ、可愛い。」

たかしは嬉しそうに握手した右手を左手で撫でていた。



「好きなの?」


俺は聞いてみた。


「好きだよ。きらいな奴いないだろう?あんなに可愛いなんて。学校に来るの楽しみが増えた。」


たかしは言った。

「コウタのこと、好きなんだろうな。チクショー付き合っちゃえよ。あんなかわいい子。」

とも言った。

「俺のこと好きかわかんないし。俺も好きかわかんない。」

「お前、可愛いと思わないの?!」

たかしは興奮気味で聞いてきた。

「可愛いとは思うよ。・・・・・・・・でもそんだけかな。それ以上の気持ちがない。」



たかしは溜息ついた。


「お前ってやっぱ変わってる。」









家に帰ると、さくらが来ていた。


悔しいけど、俺の感情が動かせるのはさくらだけ。


「あ、コウタお帰り。これよかったら、食べてね。あたしが作ったの。」

さくらは煮物が入った皿を俺に渡して帰っていった。

アニキがいないの知ってるから、用が済むとさっさと帰るところがムカついた。











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