恋はとなりに
その夜、鏡を見つめた。


色気がないのか、知らなかった。

だから妹とか思われちゃうのかも。

色気って・・・。

その日から色っぽい人の研究を始めた。

化粧をしたり、髪の色を変えたり。

ちょっと派手になっていった。

田舎町では少し目立つ。
ある日駅でばったりカケル君に会った。

誰だかわからなかったらしく、二度見された。

げんなりした顔で
「さくららしくないよ。ダセー。」
とだけ言われた。


その次の日。髪の色を黒に戻して、スッピンで学校に行った。

3年になり、18になり。カケル君は22才になっていた。

お互いもうすぐ卒業。

前のおかっぱ頭に戻ったあたしを見て、カケル君はすれ違いざまにニッコリ笑った。

「さくらはその方が似合うよ。」

結局色気は出せなかったみたい。

18になってもコウタに色気がないと言われ続けた。

夏休みに入った初日。
うちにクラスの男の子がきた。メールで家の近くにいるからと呼び出された。


それはろくに話したこともない佐藤くんという人。
「明日の花火大会一緒に行かない?」

明日は隣町で花火大会がある。家から小さく見えるから行くつもりはなかった。

「え、何で?あたしと?二人で?」

突然の誘いに疑問がいっぱいで聞いてしまった。

あたしと佐藤くん仲良いわけでもないのに。

あたしの質問に明らかに困った様子の佐藤くん。

「あ、じゃあみんなでならいい?」

佐藤くんは言った。

佐藤くんの後ろをカケル君が笑いを堪えながら家に入っていくのが見えた。


「いいよ。」

そう返事した。

カケル君に見られてたと思ったら急に恥ずかしくなって。早く帰ってほしくて、最後は俯いたままだった。


佐藤くんがいなくなると見計らったようにカケル君が出てきた。

「さくらもやっぱりモテるじゃん。花火大会誘われたなんてやるねぇ。」

「別にモテてない、誘われただけだし。みんなで行くんだもん。て言うか立ち聞き、趣味悪い。」

せっかくカケル君に会ったのにこんな話したくなかった。

「聞こえちゃったの、人ん家の前でやめてくれよ。
あいつ好きなんだよ、さくらのこと。わかんない?」

「え、何で。そんなこと言われてない。花火大会行くだけだもん。だって佐藤くん全然話したことないし。」


あたしはなんだかむきになってカケル君の話を否定した。
そして家に入った。

佐藤くんの突然の誘いにすごく動揺していた。


佐藤くんがあたしのこと好きだとしたら、行かない方がいいのかな?
て言うか何で?何であたし?
色気もないのに!


あたしはカケル君に相談した。

カケル君ちの庭のベンチに座っていた。

「行かない方がいいんでしょうか?」

カケル君はしばらく黙っていた。


「行ってみれば?なんかわかるかも。」

という答えが返ってきた。真面目に答えているようだったので。

とりあえずその線で考えることにした。

寝る前に考えた。
みんなでって言ってたけど、みんなって誰だろう?


あたし友達少ないのに。

そして清香ちゃんに電話してみた。

佐藤くんのこと話したら、「え、さくら気づいてないの?佐藤ってよくさくらのこと見てるよ。クラスで気づいてないのさくらだけだよ。」
と言われた。

気づくわけない。あたしカケル君以外興味ないし。

「あたしは花火大会行くのいいよ。でもさくらはその気がないのに行くのがやなんだよね。でもいいよって言っちゃったんでしょ?じゃあ行った方がいいような気がする。」


清香ちゃんに言われ。最もだと納得して寝た。

明日は花火大会みんなで行くんだ。




















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