恋はとなりに
あたしは女の子のことは気にせず話し出した。
「昨日のことなんだけど。すごい悪いことした気がして。」
「あのさ、今人いるし、帰ったらゆっくり聞くよ。」
またしても遮られた。
なんだかさみしい気持ちになった。
ヤバい……ちょっと泣きそう……。
「……わかった……。」
居場所もなくなって、ホームから立ち去った。1本遅らせて電車に乗って大学に行った。
大学の食堂で桃子ちゃんに話を聞いてもらった。
「バーカ。」
聞き終わっての桃子ちゃんの第一声。
「え?」
人からそんなこと言われたの初めてで、面食らった。
「そんなの一緒に寝てたに決まってる。コウタとその女は体の関係がある。若い男女が一晩同じ部屋にいて何もないわけない。」
桃子ちゃんは自信満々に断言した。
「か、体の関係……。コウタが?」
「コウタはさくらに振られて、やけになってワンナイトラブに走ったんだよ。」
「ワンナイト……ラブ……?」
「一夜限りの恋!」
コウタが?え、えーーーーー!!!!
声にならないくらい驚いた。
つまりそれって、それって……。
コウタはそんなことしないと思っていたのになんかショック。
まだ高校生の癖に~!
「さくらってなんにも知らないんだね。今時こんなことでそんなに驚かないよ。って言うか、男女が同じドアから出てきたら、そう考えるのが普通でしょ。」
桃子ちゃんはさらりと言った。
あたしは開いた口が塞がらない状態。
そうなんだ、そうなんだ。やっぱりあたし、遅れてるんだ!
「あたし、どうしたらいい?」
「うーん、どうしたいかよく考えて。それでもコウタと付き合いたいのか。」
「そうだよね。どうしたいか、大事だよね。」
でもちょっと考えたら、涙が溢れてきた。
「さくら、大丈夫?」
「うん、大丈夫。なんか悲しくなっちゃって。」
振られたって言うのかな。
裏切られたって感じ?
その日はコウタに会わなかった。