恋はとなりに



水遣りは、20分くらいで終わった。

家に帰るとコウタが暇そうに、ソファに寝そべってテレビをみてるんだか見てないんだか。



あたしは部屋に戻った。


やることもないのでレポートを作成していた。
静かではかどる。

1つ仕上げて、下に降りた。


時計を見るとお昼過ぎていた。



リビングのソファーにコウタはいなくなってた。

キッチンにもいない。


部屋にいるのかな。足音とかしなかったけど。



「コウタ~。」

おっきめの声で呼んでみる。


静まり返った部屋にあたしの声は吸い込まれただけだった。


あれ、いないのかな。


出掛けるなら声かけてくれればいいのに……。

こんな広い家に1人だと寂しい。

部屋をのぞいてみたけどいない。


お昼ご飯どうしようかな。


とりあえず紅茶を飲もうとお湯を沸かす。

紅茶を飲みながら、鈴木家にお世話になってよかったかもと思った。一人きりになったことないし。

こんな広い家に1人で不安で寝れないな。


昼間だから、いいけど。コウタ夜には帰って来るよね?


と思ってたらコウタが帰ってきた。コンビニの袋さげて。

「コウタ~、どこ行ってたの?」

あたしはコウタが帰って来てくれてすごく嬉しかった。

自分でも意外なくらい。

「お昼ご飯買ってきた。好きなもん食え。」


コウタはコンビニの袋からおにぎりやサンドイッチを出した。

「ありがと。」

一緒にご飯を食べた。


「普通なんだよね~。コウタも普通?」


「意味わかんないんだけど。」

コウタは眉間にシワ寄せてあたしを見ている。

「コウタといるのが普通のことに思える

………………って言うのかな…………。」

コウタは黙ってこちらを見ているだけ。

「ちょっといろいろあったのに、みんなこんなもんなの?」

コウタの顔はどんどん曇っていった。


「それって、俺のことなんとも思ってないって言ってんの?!」

コウタは怒りながら、聞いてきた。

「えー違うよ~。」
あたしはへらへら笑いながら答えた。


「お前ってほんと残酷なことさらっと言うのな!」

コウタは大きめの声で、怒鳴るのを我慢してるみたいだった。

余計に怖い……。

あたしはシュンとなった。

テーブルを挟んで向かい合ってるあたしとコウタ。


「誉め言葉のつもりだったのに……。」

あたしは下を向いて言った。
怖くてコウタのこと見れない。


目を合わせたらケンカになりそう。

もうなってるけど。








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