恋はとなりに


コウタはテーブルの下で貧乏ゆすりしてる。

あたしは席を立って、紅茶を入れたカップをコウタの前に置いた。

すると、カップを持ってる手首をコウタに強く捕まれた。


「なに?」

あたしは強い口調で聞いた。


コウタは無言で立ち上がり、あたしを追い詰めてくる。

あたしは冷蔵庫に背中をつけて立っていた。

コウタが変なことしようとしてる。


どうしよう

コウタは両手を冷蔵庫につけて、あたしを逃がさないつもりっぽい。

「ねえ、なんのつもり?」

あたしは至近距離のコウタに問う。

コウタは余裕の表情。不敵な笑みを浮かべてる。


おでことおでこがくっつきそうになってあたしは


目をつむり顔を背けた。


コウタは一言


「これでも、俺といるの普通?」


と言った。

目をゆっくり開けると、10センチ先にコウタの顔があって鼓動が早くなる。

ち、ち、


近い!!!!!!!




そうして満足したのか、部屋に戻っていった。


なんなの、なんなのなんなのなんなの!!!!!


からかっただけ?コウタのバカバカ。


ファーストキスの相手になるかもとか考えちゃった。



でもコウタならそんなにいやじゃないかな。

あんな強引なのはやだけど。


でもあんまりいやな気もしなかった。


ドギマギしたーーーー!!!!!

けど、そんなのも普通。
なんだろう、自然なことに思える。




あたしはコウタの部屋に行ってみた。

コウタはパソコンひらいていた。あたしが入ってきたの気づいてるはずなのに見ようともしない。

あたしはベッドに腰かけた。


「なんだよ。」

コウタは振り向きもせず聞いてきた。

「別に……。」

部屋の本棚をぼんやり見ていた。


「ねえコウタ最近漫画買ってないの?」

「買ってない。」

食いぎみに答えが返ってくる

「ねえさっきキスしようとしたの?」

「…………。」


「ねえ聞いてる?」

無言の背中に問いかける。

「ちげーよ!」

荒々しい答が返ってきた。


キスしようとしてないのか…………。


「ねえ何してるの?勉強?」


あたしは机に近づいた。

「もう。なんだよ、本探してんだよ!」

また、乱暴な言葉使い。


「つまんないのー。じゃああたし、出掛けてくる。じゃあね。」

あたしは踵を返しコウタの部屋を出た。


用もないのに外に出てみても、行くとこもない。


とりあえず駅の方に歩いてみる。

コウタって何であんなに冷たいんだろ。
あたしのこと好きって言ったり

わけわかんない。


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