恋はとなりに


つまんない。

桃子ちゃんに電話してみた。

いつのまにかできた彼氏とデート中だそうで。

次に河瀬君に電話してみた。


喜んで近くの駅まで来てくれた。


街に出て、お茶した。

「河瀬君、なんかデートみたいね。」


「うん、いつもと違って緊張する。」

何も考えず出てきたから、普段着で来ちゃった。

街に出るならもう少しおしゃれしたのにな。


ガラスに映る自分を見て、反省した。

色気がないよね。

河瀬君とは、最初恋が始まるのかと思ったけど。

いつも一緒にいるうちにただの友達になれた。

カケル君のことで、悩んだりしてたし。
煮え切らないあたし。

河瀬君はとってもいい人。
いつも優しい。

コウタとは大違い。

ほんと、大違い。

「河瀬君っていつも穏やかだよね。」
あたしの言葉に河瀬君は苦笑い。

「そういうのよく言われるけど、どう受け止めたらいいかよくわかんなくて。誉め言葉に思えない。」


河瀬君は言った。
「え、あ、そうなの?誉め言葉のつもりで言ったんだけど。」


「でも、全然モテないし。いつも友達止まり。」


「ふうーーーーん、そっか……。」

人にはそれぞれ悩みがあるもんだな。

コウタはモテるって言ってたし。


やな奴の方がモテるのかな……。

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