恋はとなりに
河瀬君と街をぶらぶらしていたら、17時過ぎていた。
「あ、もう帰らないと……。」
夕飯どうするかな。買って帰った方がいいのかな。
「あ、じゃあ送ってくよ。」
と、河瀬君に言われて感激した。
「気持ちは嬉しいけど、いいよいいよ。河瀬君帰るの遅くなっちゃうよ。」
悪いなと、思い断った。
「今日はデート感覚で送らせて。」
河瀬君が言うので送ってもらうことになった。
男の子と二人で電車に乗ることなんてあったかな。
と考えていると
「女の子と二人で電車乗るの初めてかも。」
と河瀬君が言った。
「そっか……あたしもそうかも。」
カケル君とコウタと乗ったことあるけど。あれはお出掛けしてたわけじゃないし。
河瀬君と帰ってたら夕飯のこと忘れてしまった。
河瀬君は家の前まで送ってくれた。
どこまでも優しい!
家に入ると、コウタが階段から降りてきた。
「今のってこの前カラオケにいた奴?」
急に言われてびっくりする。
「…………そうだよ。河瀬君って言うの。」
「わざわざ送ってくれるなんて親切な人だね。」
「うん、河瀬君てすごく優しいの。」
「じゃあ河瀬君と付き合ったら?!あいつ絶対お前のこと好きだよ。」
コウタはケンカ腰に言ってきた。
あたしはわけがわからず、黙って立ち尽くしていた。
コウタはキッチンの戸棚からポテチを取ると部屋に戻っていった。
コウタまで河瀬君と付き合ったらいいって。
あたしと河瀬君てそんなにお似合いなのかな。
もーーー。
それにしても、夕飯………………どうするかな。
冷凍庫にはおばちゃんが作っておいてくれたハンバーグがあった。焼けばいいだけ。
ちょっと焦げたけど焼けたからコウタに出してみた。
白いご飯もお味噌汁もないけど、ハンバーグだけコウタは文句言わずたいらげた。
こういうとこ、優しさを感じる。
今、告白されたらオッケーするのにな。
もうあたしのこと好きじゃないのかな。
コウタってなんか気持ちにムラがあるよね。
そういうとこに振り回されてる気がする。
その日、あたしとコウタは一緒にテレビ見たりして過ごした。
特に何もなく夜は更けていった。
「そろそろ寝る。おやすみ~。」
と言ってコウタが部屋に入ったのであたしも部屋に入った。
ベッドにもぐるとすぐ眠ってしまった。