恋はとなりに
朝、いつものように目覚めた。
ベッドの中で伸びをしてから上半身を起こした。
どこか違和感を覚える……
何か違う
いつもの朝じゃない
でも確かめるの怖い
左手に何かが触れていた。
それを確かめるために、ベッドの左側を見た。
誰か寝ている。
コウタ……じゃない。髪の長さが違う。
寝ている隣の男は、あたしの左腕を掴むと、ぐっと引き寄せた。
「もうちょっと寝てようよ。」
寝ぼけているような口調。
あたしは暫く固まっていたけど。
隣の男の正体がわかると、落ち着いてきた。
隣に寝ているのは、カケル君だった。
カケル君はお酒臭かった。でも、久しぶりに見るカケル君はやっぱりかっこよかった。
誰と間違えているんだろう。
腕を掴まれたままだから、身動きとれずにいた。
そのうちまた、眠ってしまった。
次に起きたら、カケル君の姿はなかった。
あれは夢だったのかな。
寝ぼけ眼で下に降りると、コウタがソファーに座ってテレビを見ていた。
「おはよ。」
と声かけるもコウタの返事はなかった。
キッチンで音がする。
あ、カケル君やっぱりいるんだ!
あたしの足は早足になってキッチンに向かった。
カケル君がお料理をしているところだった。
「カケル君、おはよー!」
さっきより元気に挨拶した。
「さくら、おはよう。俺、さくらいるの知らなかったよ、ゴメン。」
「いえいえ、こちらこそご迷惑お掛けしてます。」
カケル君はフライパンでウインナーを炒めている。
「朝起きたらカケル君がいて驚いたよ-。」
あたしが言った。
「そうだよね。俺だって驚いたよ。」
カケル君が言った。
「コウタの機嫌悪くさせちゃったよ。部屋を出たらコウタに会って、コウタが一番驚いてたよ。」
と、カケル君が続けて話した。
その話を聞いたら、この前のこと思い出してしまった。
コウタが女の子を部屋に泊めたこと。
あれよりいいじゃん。
コウタの隣に座った。あたしが座るとコウタはすぐに立ち上がった。
「アニキ帰ってきてよかったな。」
コウタはそう言って部屋に戻ってしまった。