恋はとなりに
次の日曜日、午後イチでさくらの家に遊びに行った。
さくらは出掛けてると、おばさんに言われた。
すると、間もなくさくらが帰ってきた。
さくらは俺を確認するも、挨拶もなしに2階の自分の部屋に向かった。
明らかに様子がおかしい。
見慣れないワンピースを着て、どこに行ったのか気になる。
俺は部屋について行った。
何でそんなに悲しそうな顔をしてるんだ!
聞けばアニキの家に行ったらしい。
それでそんな格好してるんだ。
会いに行ったんだ。
俺は目の前が闇に包まれたような気持ちになって
また、意地悪なこと言って、出てきてしまった。
でも、許せなかった。
密かにまだアニキを想ってるさくらを憎く思えた。
それから、さくらと会うのをやめた。
さくらを忘れることにした。
高校の友達との友情を深めることにした。
高校生らしい生活をした。
それはそれで楽しかった。
彼女のいる友達がいなかったから、よかった。
受験生だし、塾にも通い始めて完全にさくらとタイミングがずれていた。
大学は都内の私立にしようか迷ってた。
さくらのいる大学には入れるだろうけど、もっと上も目指せるし。目指すとどうしてもここから離れることになる。
忘れようとしてるさくらを理由に大学を選ぶ必要はない。
固く決意した。
決意は固く勉強ばかりして、成績も上がった。
しばらく経って息抜きに友達とカラオケに行ったら、さくらに会ってしまった。
固い決意もすぐ揺らいだ。
さくらは男といた。女の子もいたけど。
さくらが男といるのが、軽くショックだった。
俺と遊ばなくなってもたくましく生きてるとこも腹立たしかった。
そして俺は懲りずに告白をしてしまった。
さくらの断り方は酷かった。
胸にグサグサとナイフで刺されてる気がした。
急所は突いてるのにそっちも刺すのかよ!って感じ。
俺はフラフラ歩いた。
家とは反対方向に歩いた。わけわかんなくなって、現実から逃げ出したかった。
そしたら、田んぼの畦道で工藤に会った。
暗がりで「鈴木くん?」
と呼び止められ、よく見たら工藤の顔が暗闇に浮かび上がった。
工藤も様子が変だった。
俺の腕を組んできて。
「よかったー誰かと話したかったの。鈴木君なら話し相手にぴったり。」