恋はとなりに
ドアのノックする音とともに、さくらの声がして飛び起きた。
何をどうしていいかわからない状態で、
とにかく工藤を隠さなければ!
それだけ考えてたけど
隠れる場所も隠す場所もなくて、俺はテンパって工藤の寝ている布団に慌てて潜りこんだ。
その場は何となく逃れたけど。
なんかもう頭の中が沸点越えたみたいに、思考力がなくなってしまっていた。
自分の部屋に工藤が何故か泊まって、さくらがその場に来て、
悪いことしてないのに、慌てて隠そうとしたことがいけなかった。
何もやましいことないから堂々としてればよかったのに。
ペースが完全に乱された。
さくらとどう向き合っていいかわからなくなっていた。
そんなときに限って、やけに話しかけてくるさくら。
俺は冷たくあしらった。
駅のホームで、工藤の見てる前で。
電車に乗ったら工藤は笑みを浮かべて言った。
「鈴木君の好きな人ってあの人ね?」
俺は、返事しなかった。
俺は高校にいき工藤は家に帰った。
学校で時間を過ごすうちに落ち着いてきたら、さくらが何を話そうとしていたのか気になってきた。
確か、ゴメンって言ってた気もする。
昨日のこと謝りに来ただけか。
気になるけど、聞けない。
やっぱりさくらに会わなきゃよかった。
偶然会ったからって追いかけたりしなきゃよかった。
追いかけたりしなきゃよかった……。
激しく後悔……。
久しぶりに会って、浮かれてしまった。
なんだってもう、後の祭り……。
地味に、落ち込む。
でも落ち込んでるうちに、さくらが暫く隣の部屋に住むことになっていた。
さくらはなんにもなかったように挨拶してきた。
俺は心の中で万歳していた。嬉しかった!