恋はとなりに
揺れる
コウタが去ったあと、1人寂しくテレビを眺めていると。家の電話が鳴り響いた。
あたしは思わず、慌てて受話器を取った。
「はい。」
「さくらちゃん?元気?おばさんだけど」
おばさんからだった。
あたしはそのとき鈴木家にいることを思い出した。
「あ、元気です。」
「悪いんだけどおばさん帰れなくなっちゃったのよ。暫くこっちにいるからよろしくね。」
おばさんは一方的に電話を切った。
忙しそうだ。
おばさんたち帰ってこないのか……
でもコウタと二人で何とかやっていけそうな気もするし。
家事は心配だけど、まぁいっか。
「電話誰から?」
いつのまにか後ろにいるカケル君が聞いてきた。
「おばさんから、暫く帰って来れないって……。」
あたしはソファに座りながら答えた。
「叔母さんの容態がよくないのかな……。」
と、独り言を呟いた。
「え、じゃあコウタと二人?大丈夫か?」
カケル君は聞いてきた。
「うん、大丈夫だよ。特に問題はない。」
「問題ないことないだろう。
よし、決めた!母さん帰ってくるまで俺もここに居てやるよ。」
カケル君はそう言って、にっこり笑った。
「いや、大丈夫だよ?ホントに。会社まで遠くなるよ。通うの大変じゃん。」
あたしはカケル君にいてほしくなかった。いてほしくないと言うか、帰ってほしかった。
「お前ら二人で大丈夫じゃねえだろ。飯も作れないし。さくらは俺の部屋使っていいから。俺は親父の寝室使うから。そうと決まれば食料買いに行ってくる。一緒に行くか?」
カケル君に聞かれあたしは首を横に振った。
カケル君のスピードに着いていけない……。
カケル君と一緒に住むことになって、気が重くなった。
あたし、大丈夫?
カケル君への気持ちは終わらせたはずなのに、
自信ないよ。
また好きになっちゃうかも……。