恋はとなりに
夕飯を食べ終わって洗い物を一人でしてると、コウタがきた。
「河瀬君のこと、すきじゃないんだろ?」
「え。すきじゃなくないよ。」
「いや、いいんだよ。早く別れた方がいいんじゃない?」
「え?なんで?」
「さくらの気持ちが変わらないと思うから。河瀬君は友達のまま。」
あたしは目をぱちくりさせた。
河瀬君の話はわかったようなわからないような、
それより何より、コウタが普通に会話してくれたのが久しぶりで感動してしまった。
ずっとムスっとした態度だったから、こんなに穏やかに会話できるなんて嬉しい!
「な、なに?」
コウタを見つめていたら、コウタがたじろいだ。
「最近まともに話してくれなかったから嬉しくて。」
「えー、そうだっけ?」
コウタはとぼけてるみたいだった。
それからコウタがお皿拭くの手伝ってくれた。
それから一緒にテレビも見た。
すごい楽しくて、テレビも面白かったし。
コウタといるのが楽しいように思えた。
やっぱり断ろうかな、河瀬君のこと。
部屋に携帯を取りに行くと、カケル君がいた。
「あ、ごめん。ちょっと本探してて。」
「どうぞどうぞ。カケル君の部屋だから。」
「携帯取りにきたのか。」
「うん、そう。」
携帯は充電してるからベッドの上にある。あたしはそれを取ると、部屋から出ようとした。
すると突然カケル君に手首を掴まれた。
「きゃっ。」
小さい悲鳴を上げた。
「あ、ごめん。」
あたしはカケル君を見上げた。
カケル君は手首を掴んだまま、気まずそうに目をそらした。
「……何か?」
黙ってるカケル君に聞いた。
「俺、イヤかも。さくらと河瀬君が付き合うの。けっこうやだ。」
カケル君ははっきりした口調だった。
でも目は自信なさげに時々そらした。
以外と照れ屋?
て言うかどういうこと?と思いながら
「あたしもちょっとやなの。」
と答えた。
「電話してくる。」
と言って部屋を出た。
心臓がバクバクしていた。
っっっどういうこと?!
カケル君どうしたんだろう。
付き合うのやだって、言ってた……。
河瀬君のこと、気に入らないのかな。
階段をかけ降りて、玄関を出た。
百日紅の木の下のベンチに腰かけた。