恋はとなりに
翌日、河瀬君とのデート?は喫茶店でお昼を一緒に食べた。
「ごめん。俺ばっかりしゃべっちゃって。さくらちゃん昨日の夕飯何食べた?」
マシンガンのように喋り続けた河瀬君がやっと黙った。
「……シチュー。」
あたしはぼそっと呟いた。
「シチューかぁー。いいよね。俺んちなんか、焼き魚と煮物いっつもそのメニュー。やんなっちゃうよ。」
河瀬君はカレーを注文していた。
あたしはサンドイッチにした。
河瀬君の話を聞きながら考え事をしていた。
あたしがコウタやカケル君と一緒に住んでることって、言うべき?イヤな気持ちにさせちゃうかな。
どうせバレるから言いたい気持ちが強かったけど、躊躇した。
「河瀬君。」
あたしは河瀬君の話を遮った。昨日みたテレビの話をしていた。どうでも良さそうな話。
「はい。」
河瀬君はあたしの言葉に耳を傾けている。
緊張した。
「あのさ、あたしの両親今旅行に行ってて。」
「うん。世界一週だろ?すごいよなー。」
「その間ね、隣のおうちにお世話になってるの。」
あたしは、ちょっと早口に一思いに話した。
河瀬君を見るとポカンと口を開けている。
「あ、あは。そんな、そうか。一人じゃ大変だもんね。隣って、隣って。」
河瀬君は意味もなくヘラヘラ笑いながら、しゃべっている。
あたしが片思いをしていたカケル君のこと気にしてるんだろうなー。
「カケル君のこと気にしてるの?」
自分から聞いてみた。
「…………。」
河瀬君は動きが止まった。
「カケル君はいないけど土日に帰ってくるくらい。て言うか、もう全然好きじゃないし。いても大丈夫。」
河瀬君は明らかにテンションが下がっていた。
「…………あぁ、そうか……。」
さっきまで意気揚々としゃべってたのに、もうそんな感じしない。
それからなんとなく沈黙が続いて、3時頃別れた。
河瀬君は送ってもくれなかった。
家に帰るとカケル君が洗車していた。
「さくら、おかえり。デートじゃないのかよ。」
「ランチしただけ。」
「早いな。」
「ここに住んでること、話したらすごい元気なくなっちゃって……。」
気づいたらカケル君に話していた。
カケル君は困ったのか、眉間にしわをよせた。
仕上げのワックスをしていたところで、手を止めた。