青空の下で
「……これを、こっちに持ってきて、それからこうする…」


「あ!そっか!布崎君って、あったまいい~」


確かに、青の教え方はとっても上手かった。数学の先生よりもダントツ。

「父さんが、教えてくれたことをそのまま言っただけだけどね…」


そう言って、なぜか青は何か思い詰めたような顔になった。


「…おい…お前さ、ボーとしてないでさっさと教えろよな…」

私は、青の教えるのを見るのに夢中になって、すっかり大介のことを忘れていた。


「ごっごめん…!ちょっとボーとしてた…」

「ちょっとじゃねーよ…たく…こっちは全然宿題終わってねーのによ~…!」

「ごめんってば。で、どこがわかんないの?」

そう言って、大介が指差した問題を、私は教えだした。

「…つまり、ここにこの方程式をもってきて、これで解いてやればできる。他のもこれと同じようにやればできるよ」


「やっぱり、空の教え方って、わかりやすくていいわ~。空が先生だったら、もっと勉強できたかもな~」


大介が言った。私は大介の言葉を聞いて思った。私が先生だったら?先生…


「そうだ空!」

「何」

「あんた、先生になりなさい!!」

「私が先生!?」

「どうせあんた、先生か…って思ったんでしょ?」
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