青空の下で
「僕の親が医者なのは知ってるよね?」


「うん。それがどうかした?」

「実はさ、うちの父さんが僕に医者になれって言うんだよね…」


「もしかして、お父さんに夢のこと言ってないとか…?」


「うぅん…夢のことは言ったよ…ただね…」


「ただ?」



さっきよりも、一段と思い詰めたようになった。


「父さんは、それを許してくれないんだ…ミュージシャンなんて、そんなくだらないこと早く
諦めろって、何度言っても聞いてくれないんだ…」


青はとっても悔しそうに、歯をくいしばって言った。


私もお母さんにいったら、反対されるのかな…でも、お母さんは私の幸せはお母さんの幸せだ
って言ってくれたし…




「私も、お母さんに言わなきゃ…」


「まだ、言ってなかったの?」


「うん…頑張って許してもらうよ。青も、お父さんに許してもらえるように頑張ってね」

「うん。頑張るよ」




そう言って、私たちは並んで海を見つめた。
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