青空の下で

私が見た光景は、正に絶望的だった。私の１つ前の走者が、カーブの直前で転倒していた。
『おーっと！青ブロック走者、カーブ直前で転倒、一気に最下位に！！』
私は、一瞬その放送に腹が立った。だが、そんな気も知らない他のブロックの走者が、どんどん私の横を抜けて行った。そして、そのすぐ直後ひとつ前の走者が走ってきた。
そして、バトンを受け取ると、私は全速力で走った。
お願い…追いついて…！
もっと…もっと早く動いてよ！！この鉛足！
必死の思いで前の1人は抜くことができた。でも、もっと速く…
「青っ！！ごめん！」
もっと速く走れよって怒られるかと思った。
でも青は
「なかなかやるじゃん。上出来！」
パスはしっかりと渡った。嬉しかった、一人しか抜けなかった私を、笑顔で褒めてくれた。
私は、走る青に「頑張れー！！」って叫んだ。
その瞬間、大きな歓声が沸き起こった。その光景を見た瞬間、私は自分の目を疑った。
青が、前の走者を抜いたのだ。その瞬間、あたりの音が聞こえなくなって、青しか見えなくなった。
今私が見ている青はとっても輝いていた。
笑っていたのだ。一点の曇りのない目でゴールを見つめ、ただひたすら走り続ける。そんな青が、輝いて見えた。
パン！という音で、私は我に返った。そして、一位を知らせる放送がなった。