眼鏡越しの恋
「匡がお兄ちゃんに言ってくれた言葉、全部嬉しかった。匡、大好き」


まっすぐ匡の顔を見て言うには恥ずかし過ぎる台詞だから、意気地のない私は匡の腕にしがみついて俯いたまま、でも『大好き』という想いを込めて絡める腕に力を込めた。


「・・・・・祥子、お前・・・可愛すぎだろ」


腕にしがみつく私の肩を空いている反対の腕で抱き締めて、匡は困ったような声で呟いた。
困ったように聞こえるのに、匡の声には熱っぽさが含まれていて。
ギュッと強く抱き締めてくれるその腕も、私が身を寄せるその広い胸も。
ほんのり熱を帯びている。


その熱が堪らなく嬉しくて、堪らなく愛しい。


その匡の何倍も私の纏う熱は高いんじゃないかと思うほど、体温を上げて真っ赤になりながら匡の腕の中で幸せを噛み締めていた。


「・・・祥子」


私の耳元に小さく囁く匡の声にそっと顔を上げれば、匡の熱っぽい瞳とぶつかる。


優しく降るように私に重なる匡の背中に腕を回せば、匡もより強くその腕に力を込めてくれる。


そして、その身と同じくらい優しく、熱い唇が重ねられた。


触れるだけのキス。


それだけで心にも体にも甘い痺れが走る。


ゆっくりと確かめるように、優しいキスを繰り返す。


次から次へと溢れ出す互いの想いを注ぎ込むように、私達はギュッと抱き締め合いながら、幸せな甘いキスを交わしていた。




【No.2 end】


**********



「その細い銀縁、ちょっとエロいな」


「は?どこが?」


「トロンとした顔にインテリ系のそのメガネ・・・エロいだろ」


「ト、トロンって・・・」


「真っ赤でトロンとしてる今のお前の顔・・・煽ってるとしか思えねぇけど?」


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