眼鏡越しの恋
「今度からはもっと早く行くから、大人しく待ってろ」
「う、うん・・・」
甘い響きの中に少し強引な色を混ぜたような言い方で私に言い聞かせる匡に、私は頷くだけで精いっぱいだ。
私を甘やかす匡の色気が半端なくて。
ドキドキと鳴り響く心臓も火照る頬もどうにかなりそうになる。
「本当のお前がどんなに綺麗かってバレちまったからな。油断してたら危ねぇ」
私を抱き締めたまま呟いた匡はまた少し不機嫌そうになる。
でもそれが私にはどこか拗ねているように聞こえて、思わずふふっと小さく笑ってしまった。
「・・・笑いごとじゃねぇだろ」
「だって匡は心配し過ぎなんだもん」
「・・・もんって、お前」
腕の中から見上げる匡はなぜか顔を赤くして、目を丸くしたかと思うと、手で口を押えた。
「みんなきっと眼鏡のない私が物珍しかったんだよ」
「・・・はぁ~、お前ホント意識薄すぎ」
私の言葉に匡は大袈裟な溜息を吐いて肩を落とした。
「それにね」
大袈裟な匡を見つめて、私は笑顔を浮かべて。
「私を癒してくれるのもドキドキさせるのも匡だけだよ?」
「・・・・・祥子、お前反則し過ぎ」
私の言葉に一瞬、目を見開いた匡はちょっと恨めしそうにそう呟くと、私へ噛み付くようなキスをした。
瞼を閉じる瞬間、見えた匡の顔が少し赤かったのは見間違いじゃない・・・はず。
段々と甘くなるキスを交わしながら、蕩けるような幸せに身を委ねて、私はギュッと匡を抱き締めた。
No.3 end
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「俺の迎えが待てないほど、俺に癒してほしかったんだ?」
「え・・・いや、ちがっ」
「そっか、ほら来いよ。ちゃんと癒してやるから」
「ちょっ、やめっ」
匡に会えただけでもう十分癒されたから。
これ以上は逆に身が持ちません!!