眼鏡越しの恋
認めたくないと言うより、認めてしまった後のことが怖かった。
瀬能君みたいな人を好きになっても、報われるはずがない。
いや、私なんかが誰かを好きになるなんて、持っちゃいけない感情なんだ。
だって、こんなに私は“残念”過ぎる。
誰かを好きになっても、それは報われることがないってわかっていたはずなのに。
よりにもよって、誰よりもモテる瀬能君にこの感情を持つなんて。
その容姿も水泳に注ぐ情熱も、たくさんの女の子を魅了する瀬能君。
そんな人を好きになるなんて、身の程知らずにもほどがある。
「はぁぁぁ~~」
私は気付いてしまった感情と、すでに絶望的にしか思えない結果に深い溜息を吐き出すと、
誰もいない図書館に、私の溜息が広がるように響いた。
「ずいぶん大きな溜息だな。何、悩みごと?」
「うわぁっ」
私は突然聞こえた声に、驚いて変な声を上げてしまった。
なんでいつも、急に現れるんだ!
しかも今の溜息を本人に聞かれるなんて、どれだけ間が悪いんだ。