眼鏡越しの恋
“綺麗”
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「で、インタビューの内容だけど・・・」
私の隣に座った瀬能君は、鞄の中から私が今朝渡した原稿を取り出した。
気になるところがあるのか、机の上に置いた紙の上の文章を目で追いながら『ココ』と言って指を差した。
「どこ?」
ボーっとしていた私はその個所を見るために、慌てて顔を近づける。
瀬能君の指差す箇所に目を走らせていると、すぐそばに寄せられた瀬能君の横顔に、ドキンとして、思わず距離を取った。
「・・・宮野。顔、真っ赤」
瀬能君は口角を上げて、私の顔を見つめる。
その表情に漂う彼の色気に私はますます顔に熱が上がるのを感じた。
高校生なのに、そんな色気・・・卑怯だ。
私は意味のわからない八つ当たりを、心の中で瀬能君にぶつけるけど、さすがに声には出せない。
代わりに睨むように瀬能君を見上げると、瀬能君は何かを思い出すように呟いた。
「あの時も真っ赤な顔してたよな」
「え?」
あの時っていつのことだろう・・・そう思っている私に瀬能君はふっと目を細めて表情を崩した。