眼鏡越しの恋



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無言で俯く私に瀬能君も黙ったままで。
私は居た堪れない気持ちになって、俯いたままボソッと口を開いた。


「メガネ、返して」


瀬能君に素顔を晒していることが、堪らなく嫌だった。


「・・・・・何があったか知らねぇけど、素顔のお前は誰が見ても綺麗だよ」


「そんなことないっ」


瀬能君が重ねた言葉に私は大きな声を出して、彼を睨むように見た。


「いや、お前は綺麗だ。他の女なんて霞むくらいにな」


「・・・・・なんで」


はっきり言い切る瀬能君がわからない。
どうしてこんなことを言い合っているのか・・・今の状況がまったく理解できなくて私はただ、混乱していた。


「けど、他のヤツに素顔のお前はこんなに美人だって知られるのは癪だから隠してろよ。ホントのお前がものすごく綺麗だって知ってるのは俺だけでいい」


理解不能な言葉を吐いて、瀬能君は私にメガネをかけさせた。



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