眼鏡越しの恋


明らかに様子のおかしい宮野を説き伏せるように言葉を繰り返した。



―――…その原因が何か知らないけど、俺の言葉を信じろよ。



そんな押しつけみたいな願いを込めて言葉を繰り返した。


『素顔のお前は綺麗だよ。他の女が霞むくらいにな』


動揺する宮野にメガネをかけ直して、心に湧き上がった独占欲の塊を思わず口にしてしまった。


『ホントのお前がものすごく綺麗だって知ってるのは俺だけでいい』
『他のヤツの前でメガネ取るんじゃねぇぞ』


そんな俺の本音に宮野は動揺の色を濃くした。


その先の言葉を。


俺は宮野が好きだってことを伝えたかったのに。


急に聞こえてきたスピーカーからの声に邪魔された。


一瞬黙った俺の前から宮野が走り去った。
呼び止める俺の声にも足を止めなかった宮野に、焦り過ぎたことを後悔しても遅かった。



宮野が初めて見せた苦しげな顔が、目に焼き付いて離れなかった。




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