眼鏡越しの恋
「瀬能・・・『触るな』って宮野はお前のモノじゃないだろ」
怖い顔で睨まれているのに戸田君はまったく動じていない。
それどころか瀬能君を挑戦的な目で睨み返している。
二人の間の空気がピリピリと張りつめていた。
「これからすぐに俺のモノになるんだよ。だから勝手に触るんじゃねぇ」
―――…え?
とんでもない台詞を言われた気がしたけれど、急に瀬能君に腕を掴まれて立ち上がらされた私は、混乱したままの状態でその場から連れ出された。
後ろを振り返ることもできないほど、強く手を引かれて、私は大股で歩く瀬能君の後を必死についていくだけで精いっぱいだった。