眼鏡越しの恋



「あほらし。お前そんな言葉を真に受けてずっと顔を隠してきたのかよ」


「あほらしいってっ!私にとっては・・・」


私の話を聞き終わった瀬能君は呆れたような顔でそう言った。
その言葉に私は思わず大きな声を出して、反論しかけたけど、瀬能君の次の一言にその言葉を飲み込んだ。


「お前は綺麗だ。間違いなく、誰よりも綺麗だ。そんなからかわれて心にもねぇこと言うようなヤツの言葉なんて信じるな」


「だって・・・・・」


「だってじゃねぇよ。俺の言葉が信じられねぇのかよ?」


感情のコントロールが利かなくなってきた私は、溢れそうになる涙を抑えることができなくて。
目に溜まった涙のせいで揺れて見える瀬能君を口を引き結んで見つめた。
そうしてないと、声を出して泣いてしまいそうだったから。


「俺はお前が誰よりも綺麗だって知ってる。見かけだけじゃなく、中身もな」


「・・・・・ぅっ・・・」


涙が頬を伝って流れ落ちる。


瀬能君の言葉はとても真剣で、まっすぐで。


私の心の奥まで響いた。



「俺は宮野が好きだ」



もう一度繰り返す瀬能君の言葉に私は抱き締めてくれている彼の胸に顔を埋めて泣いた。



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