眼鏡越しの恋
「・・・私なんかが・・・好きて言ってもいいの?」
「“なんか”じゃねぇ。それに、言わなきゃ怒る」
瀬能君の胸に顔を埋めたまま、呟くように訊いた私の背中を撫でて、瀬能君は『怒る』って言いながら、その声はとても優しい。
「・・・私も・・・・・瀬野君が、好き」
瀬能君の言葉に背中を押されて、私は涙に掠れる声で彼の胸の中で小さく呟いた。
瀬能君はその私の告白に、私の背中に回した腕に力を込めて、更に強く抱き締めてくれた。
「お前はもう俺のモノだからな。他の誰にもやらねぇから。俺の前以外ではメガネ取るんじゃねぇぞ」
「・・・・・うん。でも・・・なんで?」
強く抱き締めていた腕を緩めて、お互いの額を合わせるようにしながら真剣な瞳で見つめてくれる瀬能君の言葉に、私は嬉しくて素直に頷いた。
でも、どうしてメガネにそこまで拘るのかがわからなくて、涙で濡れたままの目で見つめ返しながら訊いた。
「・・・・・メガネ取ると、宮野がどんだけ綺麗か他のヤツにバレる。他のヤツにお前の綺麗な顔を見せたくないし、余計な虫も寄りつかせたくない」
「・・・・・・・」
瀬能君のストレートな独占欲の篭った言葉に、私の顔はこれ以上ないほど真っ赤になる。
「わかったか?」
額を合わせたまま私の瞳を覗き込むように見つめる瀬能君に、私はコクリと頷いた。
そんな私に満足そうな笑顔を見せて、瀬能君はもう一度、私をギュッと抱き締めた。