眼鏡越しの恋
「―――――っ!?」
私は驚きすぎて目を見開いたまま、目の前の瀬能君の顔を見上げた。
瀬能君はしてやったりという表情をして、ニヤリと機嫌よく口角を上げている。
そして、真っ赤な私の顔を見て、ぷっと可笑しそうに噴出した。
「そんなに驚くなよ。お前、すげぇ真っ赤!」
私の頬に指先を伸ばして、その熱を確かめるように触れる瀬能君は満足げな笑い声を上げた。
「あ、あんなこと言って瀬能君が困るよ」
私に触れる瀬能君の指先とその笑顔にドキドキしながら、私は赤い顔のまま眉を下げて小さく呟いた。
「あ?なんで俺が困るんだよ」
私の言葉に瀬能君が笑い声を止めて、私の目をじっと見ながら訊く。
その鋭い視線に私の鼓動はより速さを増す。
「だって・・・今の交際宣言みたいだし。私なんかと付き合ってるなんて瀬能君の評判が悪くなるよ」
「ああ!?なんだそれ。今のはみたいじゃなくて、交際宣言だろ。しかも俺の評判ってなんだよ。“なんか”じゃなくて、お前はお前。俺はお前がいいの。外野からの評判なんて知るかよ」
瀬能君はイラっとしたような口調で私を鋭い視線で射抜きながら言い放った。
「だって・・・・・」
瀬能君のストレートな言葉が嬉しい反面、やっぱり私は周りの反応を気にしてしまう。
瀬能君が私なんかと付き合ってるってわかったら、きっと『趣味が悪い』とか色々言われるんじゃないのかな・・・って。
「だってじゃねぇよ!お前、まだ俺の言葉を信じてないのかよ?」
グズグズと反論する私に瀬能君は一層、不機嫌になって私を睨む。
その視線に委縮してしまって、私は小さな声で続けた。