眼鏡越しの恋


「信じてるよ。信じてるけど・・・それは瀬能君だからであって、他の人は私のこと瀬能君が思ってるようには思ってないし。私だって自分のこと・・・その、“綺麗”とか思えないし・・・・・」


「はぁぁぁ~」


私の言葉に瀬能君が大きな溜息を吐き出した。


「他人がどう思おうと関係ない。言わせたいヤツには言わせればいい。だけどなぁ、お前は“綺麗”なの、“美人”なんだよ、世間一般から見ても確実に!それがバレない保障はねぇだろ。戸田の時みたいに・・・ああいうことがないように、先に牽制しときかったんだ・・・って言わせるな。マジでかっこ悪いだろ、俺」


瀬能君は私から視線を外して手で顔を覆うと、もう一度、深い溜息を落とした。
その横顔が少し赤いのは、気のせいではないと思う。


「・・・・・瀬能君、ごめんね?私、自分に自信がなくて・・・瀬能君の言葉はちゃんと信じてるから。・・・・・ごめんね」


私は一歩、瀬能君に近づいて、瀬能君の腕にそっと手を重ねて、横を向く彼の顔を見上げた。


「・・・・・お前・・・その目は反則だろ。煽ってるとしか思えねぇ」


「え?・・・あっ・・」


そう言うと瀬能君は私の腕をいきなり引き寄せて、私をその腕の中にギュッと捕えた。



そして。



私の頬に手を添えて上を向かせると、ぶつかるように唇を重ねた。



< 58 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop