眼鏡越しの恋
「お前、ホント意識薄すぎ。だから余計に心配になるんだ」
「たとえ匡の言う通りだとしても、私は匡だけが好きだよ?」
「・・・・・・・・」
はぁ~と溜息を吐いた匡を見上げたまま言った私の言葉に、匡は目を見開いて息を呑んだ。
恥ずかしすぎる台詞に私も言った後で顔を真っ赤にして、俯きそうになる。
そんな私を匡はまたギュッと抱き締めた。
「お前、ホント反則し過ぎ。俺の心臓も理性ももたねぇって」
大きな匡に抱き締められて、その広くて逞しい胸に頬を寄せる私は、匡の溜息交じりの言葉を幸せな気持ちで聞いていた。
「もし他のヤツがお前に言い寄って来ても、絶対渡さねぇ。俺も祥子だけが好きだからな」
鋭いのに、どこか熱っぽい視線で私を見つめながら言った匡の言葉が、私は嬉しくて堪らなくて、笑顔で匡を見上げて頷いた。
自分に自信がなくて、素顔も心も隠していた私を見つけてくれた人。
今まではみんなに言われていたように“残念”な私だった。
でもこれからは、あなたの言ってくれた言葉に少しでも近づけるように。
私を想ってくれるあなたに少しでも“綺麗”だと思ってもらえるように。
少しずつ、自分を変えていきたいと心から思う。
だから。
眼鏡越しの私を、ずっとその強い瞳で捕まえていて。
【完】
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『祥子、試合応援に来いよ』
『え?だってさっき、鬱陶しいから来るなって』
『あ?お前は例外だろ。他の応援なんていらねぇけど、お前の応援は欲しいんだよ』
不機嫌そうに怖い顔して言ってるけど。
その台詞、甘過ぎだよ・・・匡。