眼鏡越しの恋
番外編SS
No.1 ライバル
【No.1】side匡
「瀬能君、好きなの。付き合って下さいっ」
「・・・・・俺、彼女いるけど」
知ってるだろう!という言葉を声にせず、俺をじっと見てくる目に暗に告げる。
それでもなぜか更に食い下がってこようとする目の前の名前すら知らない女にイラっとする。
「私の方がっ」
「悪いけど、彼女以外に興味ないから」
『私の方が』に続く言葉を言わせないように、言葉を被らせて無理やり黙らせて、俺はそれだけ告げて校舎へ向かうために背を向けた。
歩き去る俺の背中にまだ何か言いたそうに声を上げているけど、俺は決して振り返らない。
「はぁ~・・・」
自分の下駄箱の前に着いて、俺は我慢していた溜息を大げさに吐き出した。
例の“ランチ放送”で祥子との交際宣言をしてからというもの、なぜか今まで以上にさっきみたいなことが増えた。
『祥子のモノになったから、他の女はいらない』って宣言したのに。
わざわざ全校に向けてした交際宣言がなぜか裏目に出ているこの状況に、正直うんざりしていた。
「朝からモテる男は大変だね」
「あ?・・・・・なんだ、お前かよ」
不意にかけられた嫌味を含む声にイラっとしたテンションのまま顔を上げると、会いたくない男NO.1の顔がそこにあって、更にムッとした。