眼鏡越しの恋



頼まれごとをされるとつい引き受けてしまうお人よし。
相手に気を遣わせないように、気軽に引き受けてやるところも祥子の優しさだろう。
引き受けたことはしっかりやり遂げるし、そのための努力だって惜しまない。


簡単そうで、なかなかできることじゃないと思う。
少なくとも、俺には祥子の真似はできない。


祥子は否定するけど、祥子は優しいから。
それと同じくらい芯が強いから。


頼まれごとを断れないし、一度引き受けたことは、やり遂げる。


そんな祥子が好きだと、片想いしていた頃から思っていた。


例え、祥子に目を奪われた切っ掛けが、祥子のこの綺麗な顔だとしても。
ずっと見てきて、それは俺の祥子に対する“好き”のごく一部で。


お人よしのところも。
小さなことに一喜一憂する純粋なところも。
意外と泣き虫なところも。


他にも・・・数え上げたらキリがないほど、祥子の全部が好きだと思う。


そばにいるようになって、ますますその要素は増える一方だ。


今朝、戸田が言ったように俺よりも祥子のそばにいた期間が長いアイツが祥子に惚れないわけがないか・・・と、ちらっと思ってそんな自分にイラっとした。


何を肯定してるんだ、俺。


例え戸田が祥子の素の内面に惚れてたとしても、絶対渡すつもりなんてない。
アイツがなんて言おうと、俺は本気で祥子の全部が好きだから。
戸田だろうが、他のヤツだろうが容赦なしで蹴散らしてやる。



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