眼鏡越しの恋


「祥子が完全下校の時間まで残るんなら、俺も久々に最後まで泳いでくるかな」


「え?・・・一緒に帰れるの?」


全国大会が終わって、俺も水泳部を引退していたけど、自主練という名目で今もほぼ毎日部活には顔を出している。
それでも引退した身だから、体が鈍らない程度で上がることが多い。
でも今日は、祥子が放送当番で残るなら、俺もその間、泳いでいようと思った。


そう思って気軽に言った俺の言葉に、祥子がびっくりした顔をして訊き返してくる。
その顔が少し、嬉しそうなのは気のせいじゃないだろう。


「当たり前だろ。放送室まで迎えに行くから、待ってろよ」


「うんっ、ありがとう」


満面の笑顔で素直に頷く祥子は、やっぱりドキドキするほど綺麗だ。



【No.1 end】


*********



『戸田が来ても、相手にすんじゃないぞ』


『戸田君?・・・何で?』


『何でもだよ!』


・・・俺のいないところで、アイツに掴まんなよ。



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