眼鏡越しの恋
NO.2 素顔
【No.2 素顔】side祥子
今日の4限目の授業は体育だった。
着替えを済ませて、体育館に行くと、女子だけじゃなく男子もいて。
今日は男子も体育館での授業のようだ。
体育館の半面ずつで男女それぞれ授業が始まった。
男子はバスケで、私達女子はバトミントン。
私はいつものように美香とペアになって、二人でシャトルを打ち合う。
でもラケットを振るたびに、メガネがずれてしまって、気になって仕方ない。
体育の時ってメガネはホント不便だ。
まあ、メガネじゃなくても運動があまり得意じゃない私だから、どちらにしてもうまくできないだろうけど。
美香が打ったシャトルを打ち返そうとラケットを持った腕を伸ばした。
その瞬間、やっぱりメガネがずれてしまって、気を取られた私は派手に空振りした。
「ごめん!」
美香にそう言って、後ろに落ちたシャトルを拾うために振り返った。
シャトルにばかり目がいっていて俯いていたから、そこに誰かが近づいているなんて、まったく気づいていなかった。
「うわぁっ」
「あっ」
落ちていたシャトルに手を伸ばした時、ちょうどそこに歩いてきていた男の子とぶつかってしまった。
そのぶつかった勢いで、かけていたメガネが落ちてしまって。
運悪く、ぶつかった相手の足元に落ちたメガネは、彼のふらついた足の下に・・・
「えっ!?わぁっ、メガネ!ごめんっ、宮野」
一瞬メガネを踏んづけてしまった彼、中野君が、慌てて足を上げて、メガネを拾いながら謝ってくれる。
視界が歪んでいて、中野君の表情はわからないけど、その声はかなり焦っているから、私は首を左右に振って顔を上げた。
出来る限りの笑顔をのせて。