眼鏡越しの恋
「で、メガネ屋ってどこへ行けばいいんだ?」


校門を出たところで、匡が足を止めて私に振り返った。


「あ、えっと。駅の向こうのショッピングセンターの中なんだけど」


手を繋いだままの匡が「了解」と笑顔で頷いて、私の言ったショッピングセンターの方向へ歩き出した。
私も慌てて匡について行くように歩き出して・・・でも、歩き出したはずの匡がなぜか急に立ち止まった。


「え、どうしたの?」


びっくりして思わず匡を見上げて訊き返すと、匡はなぜか少し不機嫌そうな顔をしていて。
さっき笑顔で頷いてくれたはずなのに、急にどうしたんだろうと不安でドキドキしてしまう。


「・・・なんで俺の後ろを歩いてる?隣・・・歩けよ」


「へ?」


匡が不機嫌そうにぽつりと言った言葉の意味をすぐに理解できなくて、私はまぬけな声を出して目を瞬かせた。


そんな私の視線に匡はバツが悪そうにムッとして、ぷいっと横を向いてしまう。
横を向いた匡の耳が少し赤く見えるのは・・・気のせいかな?


なんだかそんな匡が可愛く思えて、私はクスッと息を零すように笑った。


「・・・笑うな」


横を向いていた匡が不機嫌そうな顔で私を睨みつけるけど、耳と同じくらい目元もほんのりと赤くて。
匡が照れてるんだってわかって、私はくすぐったいような甘い気持ちが湧いてきてもっと笑顔になる。

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