眼鏡越しの恋

「ま、祥子だしね。仕方ないね」


「お前はそのままでいいよ」


二人の笑顔と言葉の意味は全然わからなかったけど、笑顔の匡に髪をくしゃっと撫でられて、私はそれだけで、まあいいか・・・と思ってしまう。


それくらい匡の笑顔も髪を撫でてくれた手も、すごく優しかったから。



その後、匡を気に入ったお兄ちゃんに色々と質問攻めにされた。
匡も意外とお兄ちゃんと気が合うのか、それからはまったく不機嫌になることもなく、楽しそうに話をしていた。


普段、あまり人と会話を続けない匡が、おしゃべりなお兄ちゃんに付き合っている姿は、ある意味貴重だなと思いながら、そんな二人が私も嬉しくて、時々会話に加わりながら、楽しく話し込んでしまった。




その間、私達以外のお客さんが来なかったけど、それでお店は大丈夫なのか?と私が思ったのは、ずいぶん時間が経ってからだった。



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