嘘つきキャンディー

あぁ、萌え死ぬ…

いっそ私を殺して。


「じゃあもしかして、『魔法少女 ミラクル☆みるく』の“柚木みるく(ユギミルク)たん”に似てるから?!」

「…………え。」


今まで流れていた甘い空気はなんだったのか…。


目の前の相変わらず爽やかな笑顔を浮かべたイケメンから、耳を疑う言葉が飛び出した。


確かに、私のこの“みるく”という名前は、人気深夜アニメ『魔法少女 ミラクル☆みるく』の主人公、柚木みるくから取っている。

魔法少女モノなのに鬱展開という、最近少し流行りの鬱系魔法少女モノの先駆けとなったアニメだ。


主人公の柚木みるく、通称みるくたんが、敵の怪物に頭から食べられるという誰も救われない衝撃のラストは、未だ語り継がれる謂わば伝説だ。


そしてこれは、全てカメ男談。

私にこの“みるく”という名前をつけた張本人は、カメ男だ。


「え、あの…、確かにそうですけど、」

「やっぱり!君“みるくたん”に激似だもんね!!」


嬉しそうに私の腕をブンブン振り回すこのイケメンに、私は失神しそうになった。


あ、この人…、カメ男と同じ人種だ。


そう言えばこの人、最初私を物珍しそうに見つめていた。


そういうことだったんだ!

私が“みるくたん”と激似だったから…!!


残念すぎるイケメンは、まだ『みるくたんが二次元から飛び出してきた!』なんて、益々残念に拍車をかけるような台詞を言っている。


もうやめて!これ以上私を別の意味で殺さないで…!!


徐々に冷めていく私のトキメキとは反比例して、彼のテンションはどんどん上がっていく。
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