嘘つきキャンディー
口論の末…?その先は何っ?!
先生のその変わらない表情に、若干の恐怖すら覚える。
この人、怖いものないのかな…。
「え、先生怖くないんですか…?」
「何で?見えねぇもん怖がったって仕方ねぇだろ。」
「あ、化学教諭だから?」
「お前…、それは偏見だ。ドラマの見すぎ。」
呆れたようにそう言うと、先生は私の後頭部を軽く叩いた。
あ、何か今のだけで嬉しい…。
そう思った途端、何故か段々熱くなっていく頬を両手で包んで咄嗟に俯く。
ヤバイ。重症だ。
「…あ?何、どした?」
「なっ、何でもないですっっ!
それより圭人さんっ!結局何であそこに住んでるんですか?」
「……お前、ホント圭人好きだな。」
「いや…、はぃ。」
思わず招いてしまった誤解に、私は言葉尻が小さくなりつつも肯定した。
もういいや。そう思われてた方が都合いいし…。
「アイツの仕事、イマイチ安定とかってのが難しいんだよ。だから単純に金無くて、俺がシェア用の部屋に一人で住んでるってのを知ったら急に上がり込んできたってカンジ。
まぁ、今は金あるみたいだけど、未だにいつどうなるか分からないからって、引っ越しとかには踏み切れないらしい。」
「へぇ…。でも先生って、そういう誰かと一緒に住んだりとか向いてなさそうですよね。」
「アイツはああ見えて、意外と干渉してこないからな。部屋も分かれてるし、何よりアイツはずっと部屋に籠って仕事してるから。
別に一人暮らしと変わんねぇよ。」
「そういうものですか。…あの、圭人さんの仕事って、」