嘘つきキャンディー

思いがけない先生の表情に、私の心臓はまたも反応する。


か、可愛い…!!


「別に先生の世話になりたくないとか、そういうのじゃないですよ?」

「じゃあ何。意識してんの?」

「ち…っがう!!そういうのでもなくて、ただ迷惑かけたくないなと思っただけです!
嫌なんですよ。誰にでも、借り作るの。」

「…ふぅん。面倒な性格してるな。」

「先生に言われたくないですけどね。」


ふいっとそっぽを向くと、そのすぐ先にコンビニが見えた。

どうやらいつの間にか着いていたらしい。


「取り合えず飯選ぶか。」


先生はそう言うと、すれ違い様に私の頭をくしゃりと撫でた。


……あ、


私は早足で駆け寄って、再び先生の隣を歩く。


「どうですか?合法的に女子高生に触れられる気分は。」

「は?何言ってんだ。」

「私は気にしませんよ。先生が私に触れることを、特別に許可してあげます。」

「うるせー。生意気なんだよ。調子乗んな。」


言いながら、またも先生は私の髪をくしゃくしゃにする。


ズルいかもしれないけれど、何でもない顔をしていれば先生は私に触ってくれる。

無害なフリをしていれば、もしかしてもっと近くに居れるのかもしれない。


先生を困らせなければ、この膨らむ気持ちを止めなくてもいいのだろうか。


すでにコンビニに入ってしまった先生の背中を追いながら、私はぎゅっと自分の胸元を握りしめた。
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