嘘つきキャンディー

「これにします。」

「決まったか?」

「はい。レジ行きましょう。」


私はオムライスを二つ抱えると、先生とレジへ向かった。


先生はレジカウンターに『塩ダレカルビ弁当』を二つ置くと、そのまま私の持っているオムライスの方にも手を伸ばす。


「ほら。貸せ。」

「あ、はい。」


言われた通り差し出そうとすると、先生は突然手を引っ込めた。


…ん?


「え。どうかしました?」

「いや、お前借り作るの嫌だって言ってたよな。」

「…?はい。言いましたけど…、」


その回答に、先生はニヤリと意地悪く口角を上げる。


「無理に奢られることねぇよ。借り作るの嫌なんだろ?」

「は…、えっ?!」


動揺している私を尻目に、先生はさっさと『塩ダレカルビ弁当』の会計を済ませてしまった。

先生のお弁当を温めてもらっている間に、店員さんは私からもオムライスを受け取る。


あ~~…、あんなこと言わなきゃよかった。


後悔しつつも淡々と値段を読み込まれていくオムライスを見ていると、横から腕が伸びてきた。

『コレもお願いします』なんて言いながら、先生がオムライスの横にチーズフロマージュを二つ置く。


あ、コレ…。


「お前、遠慮してコレやめただろ。」

「え、何で知って…」

「言っただろ?分かりやすいって。」

「…って、感動させようったって騙されませんよ!
結局私が払うんじゃないですか!」

「バーカ。そんなの冗談に決まってんだろ。教師が生徒に払わせるか。
さっき生意気なこと言ったお返し。」
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