嘘つきキャンディー
そう言うと先生は、オムライスとチーズフロマージュの会計を済ませて私に商品の入った袋を差し出した。
「……ありがとうございます。」
「感動した?」
「ちょっと。」
「お前、チョロいな。」
先生から袋を受け取ると、私の頭をくしゃりと撫でて楽しそうに笑う。
先生のこれもクセなのかな。この、頭をくしゃってするの…。
だとしたら、凄く嬉しいクセだ。
赤くなった顔に気付かれないよう俯いて、私はどんどん大きくなっていく自分の鼓動を聞いた。
もう、誤魔化しは効かなそうだ。
ストーカーから助けてくれた時よりも、
心配してくれた時よりも、
抱き締められた時よりも、
確実に大きくなっていくこの気持ち。
昨日よりも今日、今日より明日、きっとどんどん膨らんでいく。
口は悪いけど、ちゃんと優しい。
頭をくしゃっと撫でてくれる。
私のこと、ちゃんと気付いてくれる…。
こんなの、好きになるに決まってる。
「……先生、ズルい。」
「ん?」
「何でもないです…。」
私は袋の中に二つあるチーズフロマージュを覗き込んで、小さく笑った。
カメ男、チーズ苦手なのにな。
まぁ、いいか。
オムライスが崩れないように慎重に袋を下げて、私よりも少し先を行く先生の背中を小走りで追いかける。
もう、誤魔化さないって決めた。
私、
先生が好きだ…。