嘘つきキャンディー
そんなことをしていたら、いつの間にか女子は全員敵になり、男子は全員私に夢を見ていた。
素で話せる相手なんて、いるはずもない。
しかし素を見せられないという点では、カメ男のほうが重症だと思う。
カメ男は私以外には話さないし笑わない。
ヲタク云々以前に、若干のコミュ障というヤツだ。
加えて、ロリコン・変態・ゲーム廃人…
彼女の数々の特殊な趣味が、彼女を無口にしてしまったらしい。
『喋るとボロが出る。』
そうカメ男は言っていた。
とにかく、私達はそれぞれそんな理由を抱えて、お互い以外に素を見せることができない。
勿論そんな私達の方が、矢野よりもよっぽど胡散臭いだろう。
「真名子はそのままだって可愛いのに、ちょっと損してるよね。」
「カメ男が私を可愛いって思うのは、私が童顔だからでしょ。」
「それだけじゃないよ。
体のありとあらゆるパーツが小さい所もすごく萌える。」
言いながらゆっくり下がっていくカメ男の視線を追うと、調度私の胸元で止まった。
コイツ…
「……それホントに悪意ないわけ?」
軽く睨みながら言うと、カメ男は不思議そうに首をかしげた。
本人には全くそのつもりはないらしい。
なんだ、ただの変態か。
そんな下らないことを話しながら歩いていると、少しして学校から一番最寄りにある駅に着いた。
小学校からの所謂幼馴染みである私とカメ男は、ここから二つ先の駅が地元駅になる。
いつもなら定期券で電車に乗るのだが、今日は地元とは反対の方向の切符を買って改札の前でカメ男に手を振った。