恋ノススメカタ
シトラスの風


「糸井?」

奧村新が私を見てる。
なんて言ったら良かったっけ?
頭が真っ白だ。


「雪ちゃんどうしたの〜?
新くんに何か用?」

「まさか、告るとか?」


は?違うよ、何言ってんのよ。
ヤツは完全に具合悪いでしょ!


あ、そうだった、保健室に連れて
行こうと思ったんだ。



「奧村新、保健室行こう。
具合悪いでしょ?」

「糸井?うわっ!」


ファンの叫び声もお構い無しに
ヤツの腕を掴んで教室を出た。



だって具合が悪いのに
放っておけないでしょ?

ファン達は見当違いな事を言ってるし。
心の中でつぶやいていると
いつの間にか、
手を繋いでいた事に気が付いた。


奥村新の手は熱のせいか熱かった。
私の手より大きくて、骨ばってる。
男の子の手だ。


「糸井って名前の通りひんやりして
気持ちいいな、雪に触れてるみたいだ」


それどころじゃないでしょ
奧村新は余裕かもしれないけどね

手を繋いでるんだよ。。
普通にドキドキするでしょ


「は?お、奧村、熱があるからそう感じるんだよ!
ファンを相手にしてる暇あるなら
保健室行きなよ」


「でも、何で分かった?
俺、具合悪いって。
分からない様にしてたんだけど」

「それは、、」


いつも見てるからね!!
なんて、ヘンタイぽい事は言えないよね






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