魔法のキス

駅に着いた。
まず先に焼肉屋さんを覗いてみよう。


焼肉屋さんはすぐにみつかった。
ドアを開けて雄馬を探す。
いないみたいだ。


「いらっしゃいませー」


「あ、すみません客じゃないんです。今日佐伯さんは?」


店長らしき人が、なんだという顔をした。


「ああ、今日は休みですよー」


「ありがとうございました」


じゃあアパートにいるかな?
電話するのも怖くて、いきなり行くことにした。


ピンポン


いないのかな?
声がする?誰か来てるの?友達?


がチャッ


雄馬が出て来た。


「朋花、なんで?」


雄馬がドアを開けたので、奥の部屋が見えた。


ベッドに座ってるのは女の子。
しかも裸?


「雄馬、彼女できたんだね、ごめん邪魔して」


「彼女?違うよ、あいつは……」


そう言ってベッドの方を振り向いた。


「お前なにしてんだ!」


「さよなら雄馬」


私は駆け出した。
遅かった。
何もかももう終わりだ。


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